野球の投球動作などの「オーバーヘッドスポーツ(肩の高さより上の位置で腕を使うスポーツ)」で「肩の痛み」を改善させるには、
など、医学的根拠(肩の痛みが出現するメカニズム)に基づいた「専門的なアプローチ」が必要であると考えております。
※以下「筋肉の張りが野球肩の原因の場合」として、ご説明させていただきます。
野球肩の症状としては、
など、 投球時の局面や状況において症状は様々です。
野球肩の原因としては「投手・野手」を問わず、
など、その他にも様々な原因が考えられ、部位によっては下記のような原因が考えられます。
野球肩の前側が痛い場合
テークバックのトップの位置が低い状態でボールを投げようとすると、肩の前側の筋肉や腱に負荷(ストレス)がかかり、その負荷が繰り返されることで最終的に痛みに変化する。
野球肩の横側が痛い場合
肩周囲の筋肉の張りや投げ過ぎなどで、肩関節の中でインピンジメント(ぶつかりや擦れ)が起こり最終的に大結節付近や三角筋中部線維付近の痛みに変化する。または「ルーズショルダー(肩の関節が緩い状態)」などにより、肩の関節の中でインピンジメントが起こり、痛みになる。
野球肩の後ろ側が痛い場合
前屈動作などの「体の硬さ」があり、フォロースルーの時に上半身を前側に倒すことができない場合や、「スナップスロー」や「手投げ(体が開いた状態での投げ方)」の場合、主に肩の後ろ側の筋肉で投球動作のブレーキをかけなければならず、その負荷が繰り返されることで最終的に痛みに変化する。
など、様々な原因が考えられます。(詳細につきましては治療の時にお話をさせていただきます。)
治療前に細かくお話を聞き、以下のことを確認をします。
その後、ボールを持ち、軽く投球動作をしていただき、以下のことを確認します。
【投球動作の局面(phase)】
1、コッキング初期(アーリーコッキング期 early cocking phase)
※ワインドアップからテークバックのトップの位置までの局面
2、コッキング後期(レイトコッキング期 late cocking phase)
※トップの位置から最大外転外旋位(MER : Maximum External Rotation)までの局面
3、加速期(アクセラレーション期 acceleration phase)
※MERからボールリリースまでの局面
4、ボールリリース
※ボールを放す局面
5、減速期~フォロースルー期(follow through phase)
※ボールリリースから腕を振り切った最後の位置までの局面
野球肩の治療としては、肩の痛みが出る投球動作の局面(phase)を確認後、
などを確認し、
をゆるめ、
を目標に治療していきます。
また「肩に痛みを出さない為の投球動作」を、投球動作のメカニズムをもとにお話をさせていただきます。
※治療後、痛みの確認をする動作をしていただきますが、「実際にボールを投げないと痛みの確認ができない」ということが多々ありますので、そのような場合は、後日「投球時の痛みの状況」を確認します。
※ジュニア期は、基本的には投球過多(投げ過ぎ)による筋肉の張りが痛み原因の場合が多いため、安静にすることでほとんどの選手は症状が改善すると考えていますが、安静にして痛みが改善しても「肩や肘に負担のかかる投げ方」をしている場合、また同じ痛みが繰り返される場合が多々あり、また、痛みが消失しても肩周囲の筋肉の張りが残っている場合がありますので、その場合にはやはり「ジュニア期」といえども、張っている筋肉はゆるめる必要性があると考えております。